R18百合総集編 iの在りか

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1. りょうま

   2024年11月25日

   "ｉ"でつながる３作品の総集編

   『ｉの失踪』『ぬる、はぐ』『めいどの道に王はなし』の本編と、後日談を収録の１冊。

   『ｉの失踪』喫茶店の店長さんと今を時めく大人気女性俳優岩魚逢の心の動き・繋がりを、エモーショナルなコマ割りやネームで表現しています。
   もちろんR18ですので、特に後日談に入ってからは、２人の濃密な交わりが『ｉの失踪』よりも大胆かつ繊細に描かれています。２人はいわゆる淫語を全く口にしませんが、逆にそれが心の結び付きの強さを、より印象深いものにしていると感じます。
   各話に描かれる「R18ではない部分」の、２人の会話や関係性にも強く惹かれます。相手への切ない思いを、少しずつ穏やかなものに変えていったり、『ｉの失踪』の出来事や言葉を伏線として回収していったり。「幕間」の書下ろしがさらにそれを裏打ちしていているので、物語としても魅力的です。
   店長さんやアルバイトのウェイトレスの女の子の名前が明らかになり、「フク」も登場。やがて店長さんと岩魚逢は結ばれます。
   「覚悟してなさいよ」からつながった後日談。これで完結のようですが、さらにその後日談として展開していくことを期待しています。

   『ぬる、はぐ』同じ会社の、違う部署の高峰さんと木口さんの２人。それぞれに彼女・彼氏がいる２人は、好きなのか嫌いなのか、仲が良いのかいいのか悪いのか。『ｉの失踪』とは全く違う世界観の話です。『ｉの失踪』が夢のような話だとすると、『ぬる、はぐ』は身近にある？かもしれない話。

   『めいどの道に王はなし』高校の同じクラスの「カースト最上位の女王様」晴花と、その対極にいる「学年一の高身長でも影が薄い女子」真帆との恋物語。口の悪い女王様晴花が真帆の前では素直な女の子になるギャップと、影が薄い女子真帆が実はセックスには積極的で終始晴花をリードするギャップが、この作品の魅力です。基本学校では、付き合っていることを隠すために、ベタベタしないし、名字で呼び合う２人ですが、後日談では学校の人目に付かない場所で。

   『ぬる、はぐ』と『めいどの道に王はなし』の後日談は、”ｉ”によって「クロスオーバー」します。岩魚逢の結婚報道に触れた、高峰さんと木口さん、晴花と真帆それぞれの反応と関係はとても対照的です。

   そして、最後はその”ｉ”本人たち２人と「フク」の、幸せな姿で締めくくられています。この画も大好きですね。

   是非、ご一読ください。